最近の pTeX 事情

昔はずいぶんと (La)TeX に傾倒したものだが,最近はめっきりと使わなくなった.

TeX(のベース)のデファクトスタンダードTeX Live に移った後も pTeX だけは tetex に取り残され,Linux の日本語エンコーディングEUC-JP から UTF-8 に移った後も pTeX だけは Unicode に対応していない,という残念な状況になっていたが*1土村氏の尽力が功を奏したのか,TeX Live 2010 からは pTeX が本家のパッケージの一部として配布されているようである.

とはいえ,Ubuntu のパッケージは未だに TeX Live 2009 のままであり*2,過去に常用していた OpenSuSE は最近では使っていないため,しばらく触れる機会がなかったのだが,MacPorts の中に ports があったので久しぶりにインストールしてみた.
インストールした ports は以下のとおり.

  • texlive-documentation-japanese
  • texlive-fonts-recommended
  • texlive-lang-cjk
  • (texlive-metapost)

試しに以下のドキュメントをコンパイルしてみた.ちなみに,真ん中の数式は(高校数学でいう)区分求積法の公式だが,分数,和記号,積分記号が全部含まれていて都合がいいため,昔から TeX をテストするときに好んで使っている.

\documentclass{jsarticle}
\usepackage{amsmath,txfonts}

\begin{document}

The quick brown fox jumps over the lazy dog.

\begin{equation*}
  \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n} f \left(\frac{k}{n}\right) =
  \int_{0}^{1} f(x) \, dx
\end{equation*}

こんにちは世界.
これは \pLaTeX{} の動作をチェックするためのドキュメントです.
ちなみにテストではなくチェックと書くのには理由があります.

\end{document}

得られたドキュメントはこちらUTF-8 は問題なく処理され,日本語の部分もきちんと組版されている.

*1:実際には ptexlive が Unicode に対応しており,また upTeX のようなプロジェクトがすでに存在していた.一部のディストリビューションでは標準の ptetex の代わりにこれらの実装が採用されていた.

*2:上流にあたる Debian sid のパッケージも変わっていない.